2022/04/22

ドローンの飛行許可ってどうやって取るの?

DJI MATRICE30T

ドローン事故は年々増加傾向にある

ドローン事件のニュース、最近多くなってきましたね。
先日も、皇居の近くでドローンを飛ばして書類送検になったり、横浜でブライダル会社の社員がドローンを墜落させて事件になったりと、
本当に多くの事故が発生しているようですね。
ブライダル会社のドローン事故は、不運な感じがしますよ。
事故を起こして書類送検された人は、ブライダル会社の社員です。そう、仕事で結婚式の動画作成の為に空撮しようとしたら、操作に慣れてなくて
ドローンが行方不明なった上に墜落。
しかも本人は、会社が航空局へ許可(承認)申請していたのを知っていて、ドローンを飛ばして事故ったら、なんと航空局へ登録されていない機体だったのです。
いやぁ~、怖い。
普通の会社員ですよ。
ブライダル会社の社員て色々過酷で、とんでもなく兼務仕事が多いのです。
カメラマン、花嫁エスコート、営業、打合せ、コーディネート、時には司会も一人でこなさなきゃならない。
挙句の果てに、ドローンパイロット。
激務で疲労がたまった上に、慣れないドローンの操縦までやらされて、動画撮影もするなんて超人間です。

さて、ドローンの飛行許可を取っていたというブライダル会社ですが、ドローンの専門会社でなくとも飛行許可を取れるのでしょうか?

飛行許可はだれでも取れる?!

ドローンの飛行許可に必要な条件とは?
まず、ドローンの飛行許可はだれでも取得できるのでしょうか?
答えはYes!
でもNo!
YesだったりNoだったりします。
あ~、出た日本独自のダブスタ(Wスタンダード)なんでしょ!とお思いのあなた!
安心してください。ちゃんと許可取れますから。

許可(承認)は誰でも取れますが、許可申請の要件を満たした人だけなんです。
一部の特定な飛行を除いて、ドローンの飛行には許可と承認という二つを同時に取る必要があるんです。
どんな要件なんでしょう?

飛ばすには絶対必要なんですか?
いいえ、ある条件を満たした飛行エリアであれば、航空局の許可や承認は必要ないんです。
ちょっと堅苦しいですが、航空法によってドローンの飛行は制限されているのです。
ドローンに関する航空法
まず、ドローンは法律で言うと「無人航空機(むじんこうくうき」と呼んでいます。
堅苦しい呼び名ですね~。
さて、無人航空機というドローンはどういったものなのでしょうか?
こちらも、航空法でしっかりと定義づけされているのです。

航空法上の無人航空機の対象について[法第2条第 22 項関係]
この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、
滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠
隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることが
できるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上
及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるも
のを除く。)をいう。

でね、その重量その他・・・と記載されているのには理由があって、日本の場合は機体とバッテリーの合計重量が200g以上のものを
「無人航空機」と定義されているのです。
*この省令も2022年6月20日から重量を100g以上と改正されます。

だから、航空法だけで言うと、おもちゃで軽いやつ(100g未満)は無人航空機(ドローン)ではないのですよ。
飛び方も操縦方法も同じなのですが、無人航空機ではない。
無人航空機をグーグル翻訳にかけると「Drone(ドローン)」
ドローンじゃん! と言う突込みはしないで、あくまでも「航空法」上の話なので落ち着いてくださいね。

さて、やっとのことで日本の航空法でのドローンが明らかになりました。
次は、どんなエリアだと航空法の規制対象となるのかを探ってみましょう。

航空法などはキッチリ把握し理解する

航空法で大きく分けて2種類規制されている。
2種類と言う表現が正しいかは分からないのですが、次の通りです

航空法ではドローンの飛行を「空域」と「飛行方法」に分けて規制している。
ね、2種類でしょ。

ドローンの航空法規制 空域
その空域規制も3つに分かれます。
それほど難しくないですよ。3つしかないですから。
・空港の周辺の上空の空域(A)
・150m以上の高さの空域(B)
・人口集中地区の上空(C)
・緊急用務空域(D)
難しくないでしょう?
でもなんだか、よく考えると(B)以外は曖昧なような気がしませんか?
空港周辺と言われて、「あぁ、空港周辺ね」と判断付きますか?
人口集中地区だって都心部ならそれっぽいですが、地方都市に住んでいる場合はいったいどこが人口集中地区なのか?
さて、細かい話をしましょう。

・空港周辺の上空の空域
空港周辺ということなんですが、全国の空港はそれぞれ形状が違いますよね。
その為、各空港によって制限されている空域が違うのですが、空域制限の呼称は同じなんです。
では詳しく空域制限を見ていきましょう。
空港島の周辺空域には、空港やヘリポート等の周辺に設定されている「進入表面、転移表面もしくは水平表面または延長進入表面、
円錐表面もしくは外側水平表面の上空の空域、進入表面等がない飛行場周辺の、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必
要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域。
なんだかさっぱりわからないです。
どこか分かりやすい例を探してみましょう。
出来ればシンプルな空港がいい。でもそこそこのサイズ感がないと分かりにくい・・・
秋田空港を例にしてみましょう(図は秋田県さんに転載の許可をいただきました)
ね、図と色で見れば分かりやすいですよね。
着目したいのは「上空」が飛行禁止ということ。そうなんです、このエリア全てが飛行禁止ではなくエリア上空が飛行禁止。

それでも飛ばないDJIのドローン
よし、空港周辺でエリア未満の高度なら飛行できる!
ちょっと待ってください。
僕も含めて、使用しているのドローンの殆どはDJI社製ですよね?
実はDJIのドローンは空港周辺で飛ばそうにもそのままではモーターが回りません。
ドローンを操縦するコントローラーが空港周辺に位置する場合(GPSで測位)本体・コントローラーのスイッチは入りますが、
モーター起動ができない仕組みなのです。

凄いぞDJI
え、じゃあ、結局飛ばせないってこと?
安心してください、そのドローン飛ばせますから。

空港周辺でDJIのドローンを飛行させるには、ある手続きが必要。
空港周辺でドローンを飛行させようとする場合、まずは空港事務所長の許可を得てください。
そして、許可証をスキャンします。
そしてDJIの下記のページより、必要事項を記入して飛行禁止エリアの解除申請をします。
おおよそ5営業日で申請した期間でコントローラーの飛行禁止解除がデータベース上で行われています。

そう、航空局や空港事務所長の許可だけでなく、DJIへ解除申請もしなければ飛行は出来ないのです。

もっと高く!150m以上の対地高度で飛行させるには?
ドローンの飛行も慣れてくると、簡単に高度149mまで上がっちゃいます。
DJIのMavic2Proや上位機種のInspire2などでしたら、149mという高度ほんとうに簡単に到達しちゃうんです。
Mavic2Proの上昇スピードは最大1秒で5mです。
20秒で高度100m、30秒で150mに到達してしまうのです。
コントロールも上昇(モード2で左スティック)操作だけです。
ですが、150mに到達する前に上昇をやめなければ法律違反となってしまいます。

150m以上の上空を飛行させるには空港事務所長の許可が必要
仕事や研究目的で150m以上の上空を飛行させるには、管轄の空港事務所長の許可が必要になります。
読んでるだけだとすぐに許可が取れそうな勢いですが、許可を得るには操縦実績や法律、気象など専門知識をしっかり備わっている必要があるのです。

人口集中地区ってなんだ?
人口が集中している地区と言葉では何となくわかっていそうですが、ここでいう人口集中地区は感覚ではなくて、しっかりとした基準で明確になっているのです。
その基準とは、5年に1度行われている国勢調査の結果、原則として人口密度が1平方キロメートルあたり4000人以上の地域です。
厳密に言うともう少し細かい条件があるのですが、まずはチェックの方法
こちらで赤く表示されているエリアです。
国土地理院地図のリンク

さて、空域の制限に関しては理解したでしょうか?
結構細かいけれど、しっかり覚えておかないと大変なことになりますからね~

実は空域制限はもう一つあるんです。

もう一つのドローンの法律「小型無人機等飛行禁止法」
小型無人機等飛行禁止法という長い名前の法律ですが、こちらでも空域を制限されているので、飛ばそうとする人は必ずチェックしなければならないんです。
実際、この法律によって、皇居周辺で飛行させた人が書類送検されています。
航空法のように簡単ではないもの特徴です。

どこが規制されているのか?
国会議事堂や皇居など国が指定した重要な施設とその周辺が対象です。
注意したいのは、東京や大阪などの大都市圏だけではなく、一部地方の自衛隊の施設も含まれているので飛行前には必ず確認しましょう。

期間限定、場所指定も禁止される。
小型無人機等飛行禁止法の最も注意すべき点は、重要施設として期間限定で指定されることが頻繁にあるのです。
例えばトランプ大統領が来日した際に安部首相と炉端焼きで会食したのを覚えていますか?
その際にもこの法律で六本木周辺は飛行が禁止されていたのです。
東京だけではなく、1年以上前にも中国の首相が来日した際に北海道えこりん村も飛行禁止となりました。
そうなんです。ちゃんとチェックしていないと気付かずに違法行為とされて逮捕されることだって否定できないのです。

飛行方法の制限や酒気帯び操縦の禁止などもあるのですが、それは次回に解説したいと思います。
最後に、国土交通省から許可を受けるための条件を教えちゃいます。

国土交通省航空局に許可・承認をするための条件。

・飛行の実績が10時間以上(無人航空機のタイプ毎)
・飛行方法による飛行訓練実績
・標準マニュアルに従った日々のトレーニング
・ドローンの法やガイドライン等の知識を有している
・機体の構造や特徴の知識を有している
・ドローンに関わる気象の知識
・安全運航に関わる知識と手法

何も知らずに飛ばしていると、つかまっちゃいますよ。