仕事でドローン飛ばすのって、ワクワク半分、事故などの不安半分ですよね。
家族に「仕事でドローン飛ばすんだ」って言ったら、お子様がいらっしゃる家庭ではヒーロー&ヒロイン確定、
親の仕事に興味がないお子様だってドローンと言った途端に、目がキラキラしますもん。
そこも含めて、ワクワク半分、不安半分です。
で、その不安半分を解消しちゃおうっていうのが、この記事なんです。
今回は、ドローンのトレーニングも完了したし、独学やドローンスクールで必要な知識も備えたぞ、飛ばそう!
と言うときに必ず見て欲しい記事なんです。
記事と言っても、難しい言葉は出来るだけ避けて、体系立てて分かりやすく解説して、読み終えたらすぐに役立つ内容にしていますので安心してください。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ドローンはいつでもどこでも簡単に飛ばすことが難しいのです。
そう、航空法でしっかりと規制されているので、知らないで飛ばすととんでもないことになってしまいます。
航空法についてはこちらの記事で解説しているので参考にしてください。
DIPSって何でしょう?
皆さん、DIPS(ディップス)てご存知でしょうか?
あぁ、知ってるよと言う方は、業務ドローン通ですね。
仕事でドローンを飛ばす際に、必ずと言っていいほど必要になるのが、航空局への飛行許可・承認の申請です。
航空法などをちょっと調べるとその理由が分かります。詳しくはこちらの記事
航空局は国土交通省の内部組織。そう、国の機関なのです。
そこに許可や承認を頂こうってすると、なんだか敷居が高いというか、正直何度も修正して時間もかかって、挙句の果てにもういいやってなりそうですよね?
確かに何も知らずに申請したら、やたら時間もかかるだろうし、面倒になりそうです。
逆に、とてもスムーズに申請が出来るとしたら、いいですよね。
難問が解けたクイズ王の気分になれますね?(なれるかな?)
仕事で飛ばすには必要、面倒だから許可や承認を受けずに飛行なんてした日には、リアルに警察沙汰になる確立アップです。
そこに登場したのが電子申請プログラム「DIPS」です。
DIPS(Drone Information Platform System)ドロン情報基盤システムの略称で、簡単に言うと申請したり飛行したりするときに使う申請システムです。
じゃあ早速と言いたいところですが、念のため、申請に必要な条件と情報を整理したいと思います。
さてDIPSです。
2016年頃、飛行の許可・承認は、ワードで内容を記入して、必要な資料を作成して、ドローンの写真を撮影して添付、そしてメール添付で国土交通省航空局に送っていました。
その後、修正が必要な場合は局(航空局)から修正箇所の指摘と修正案を赤字で記入された資料がメールで返信されます。
その内容に従って、修正して、写真撮影して・・・
多いときは4回以上もメールの往復で、ようやく許可・承認が下りましたと。
まだまだ続く。
確定した内容をプリントアウト&ホッチキス止め。
返信用封筒に切手を貼り、郵送して送る。そして正式な許可・承認書が郵送で届く・・・
実に最短で3週間!
審査は最短で2日間でしたが、そうな簡単に行くものではありませんでした。
面倒だと思った人は行政書士のサービスなどを利用しようと試みたそうですが、その頃(今でもかな)は行政書士さんでも内容を理解していないので、相手が航空局から行政書士に変わっただけで、手間が増えるしお金もかかる二重苦、三重苦となるばかりでした。
登録できる操縦者の条件です。
・ドローンのタイプ毎の飛行の実績が10時間以上
・夜間や物件投下、目視外飛行など、それぞれの飛行方法による飛行訓練実績(すべての合計が10時間以上)
・航空局標準マニュアルに従った日々のトレーニングと遵守事項の実施
・ドローンの法やガイドライン等の知識を有している
・機体の構造や特徴の知識を有している
・ドローンに関わる気象の知識
・安全運航に関わる知識と手法
そして、そろえておきたい写真などの情報
・機体の保険(対人対物)加入
・登録したい機体の写真
・機体とコントローラー、DJIGO4などのアプリ画面が写った写真
・プロペラガード装着時の機体写真(ガード装着して飛行の場合)
・自動操縦で使用するアプリ名(DJI GS PROなど)
・JUIDAやDJI CAMPスペシャリストの資格証のスキャニングデータ
以上はシステム上で回答したり添付送信したりするので、必ず準備しておきましょう。
必要に応じて、申請しながら作業する方もいるみたいですが、はっきり言って段取り悪すぎなので、結果時間も無駄に消費してしまいます。
ドローンと同じ「段取り八分、仕事二分」です。
事前準備しておけば、最初は1時間~2時間で、再度申請する際は30分程度で入力できちゃいますよ。
皆さん、準備はよろしいでしょうか?
それではDIPS申請への解説始まります。
どこのシステムでもそうですが、ユーザー登録から始まります。
ユーザー登録って言っても、DIPSではアカウントの開設と呼ばれているので、まずはアカウント開設をします。
画面1
赤枠で囲ったところをクリックします。
利用規約に同意して次に進みます。
個人でも企業でも入力内容はほぼ同じです。(企業の場合は企業情報を入力)
内容を確認して登録完了です。
しばらくすると、登録の際に記入したメールアドレス宛にこんなメールが届きます。
アカウントの本登録ですね。
画面に従って本登録を済ませます。
ログイン後、最初に行う事
さて、ログインしましょう。
DIPSの登録には大きく分けて2つの登録が必要になります。
そう、機体の登録と操縦者の登録です。
この二つが完了して初めて飛行許可・承認の申請を行うのです。
申請までは三段階と理解した方がよさそうですね。
操縦者の登録からでもいいような気がしますし、人から登録すると全体にまとまりがあるように感じますが、機体の登録が最初です。
理由は簡単、操縦者登録の際に飛行できる機体の選択項目があって、事前に機体の登録を済ませていないと操縦者登録が完結できないのです。
機体の登録は航空局のHPに掲載されているか否かで大きく異なります。
HP掲載機体だと、提出しなければならない複数の書類が省略できるのです。
この書類ですが、設計図や写真、操縦装置の名称や製造者名、性能に至るまでなど一般的には公開されていない内容の資料が必要になるので、よほど特殊な用途でオリジナルドローンを飛ばす以外は、掲載してあるドローンから購入する方が得策です。
HP掲載無人航空機の場合は、製造者名を選択して検索し、選択して登録するだけなので掲載なし機体に比べてかなり楽ですよね。
通常の撮影や測量などの場合はやはり掲載機体を選んだ方がいいですね。
さて無事掲載機体を登録させるところまで来ました。
簡単ですよね?
え?ABCC1て何ですか?
こちらの区分ね、そうなんです区分によって認められている空域や飛行方法が変わってくるのです。
では、詳しく説明していきましょう
航空局が確認した飛行形態の区分
A:基本的機能及び性能
B:進入表面等の上空又は地表若しくは水面から150mの高さの空域における飛行のための基準
C:人又は家屋の密集している地域の上空における飛行のための基準地上又は水上の人又は物件との間に所定の距離が保てない飛行のための基準多数の者が集結する催し場所の上空における飛行のための基準
C1:「C」と同じ。ただし、プロペラガードを装備した場合に限る。
D:夜間のための基準
E:目視外飛行のための基準
E1:「E」と同じ。ただし、下記のメーカー指定の自動操縦システム及び機外の様子を監視できるカメラを装備した場合に限る。
DJI社製:DJI GS Pro アプリ3D Robotic, Inc.社製:TOWERアプリ(株)エンルート社製:Mission Planner
F:危険物の輸送を行うための基準
G:物件投下を行うための基準
ね、区分もきちんと見てみれば意外に簡単ですよね。
例えばDJIの機体 Inspire1 V2.0を選択します。
製造者名や機体名称などは自動で表示されているのでいいとして、製造番号等を入力しなければならないのですが、ここが業務飛行としての要中の要、とても大切な内容です。
このまま素直に機体の製造番号を登録してもいいのですが、その後運用している際に不都合なことが起こりうるのです。
機体の製造番号等と記されているので、一般的には製造番号を入力しがちですが、そうすると登録した固有の機体のみしか飛行させられなくなるのです。
例えば、機体をメンテナンスや修理に出しているときに飛行の依頼が入ったらどおしますか?
予備機体があったとしても登録されていないと飛行できません。
また、レンタルしたとしても製造番号が異なるため飛行はできないですよね。
一つのアイディアなんですが、製造番号ではなく製造番号「等」を入力しておくのです。
私の場合は「Inspire1 V2.0 1号」として登録しています。
1号は製造番号を紐づけせずに会社内で「1号機体管理表」を作成して、使用期間に応じて同モデルの機体の変更が出来るように製造番号の管理を行うのです。
そうすることによって、修理に出していたとしても管理表によって機体管理を行っていれば正しいロジックとして成立します。
特に業務飛行の場合、頻繁に飛行させることもありうるので、登録時の大切なポイントですよね。
機体の登録は次へ進むをクリックして完了!
簡単ですよね~
続いては操縦者の登録です。
画面右の操縦者情報登録(赤枠)をクリックすると、次の画面に変わって、新規登録ができます。
この画面は私の画面ショットなので、既に一人登録されていますね。
新規登録ですが、国交省HPに掲載されている認定団体の技能証の有無によって、上(技能証あり)か下(技能証なし)を選択します。
気付きましたか?
ドローンスクールの認定証が無いとドローンの飛行許可・承認が得られないと思っている方が多いのですが、そんなことはありません。
一部のスクールでは勧誘の際に、DIPSへの登録が「難しい」とか「できない」なんて言っているようですが(実際聞いたこともあります)それは誤った情報です。認定団体の技能証が無くとも申請はそれほど変わらず行えます。
認定のありなしでも手間は殆ど変わらない
認定の有と無、その違いとは、一部の書類が省略して申請できるかどうかだけです。
一部の書類と言っても、申請様式3「無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書」と「無人航空機を飛行させる者の追加基準への適合性」の2つです。
これらは自分で申請するだけなので、誰かに保証人を求めたりするものではありません。
以前は、ワードファイルの飛行経歴などに〇印をして、自分で自分を証明していました。
DIPSでは適したカ所にクリックするだけです。
もちろんありのままを申告しなければなりません。
では認定団体の技能証の有無では登録にどれだけ差があるのでしょうか?
驚いてください(驚かなくともいいですが・・・)
5項目だけなんです。しかもクリックだけ
その項目とは以下の通りです。
・10時間以上の飛行経歴の有無
・安全飛行のための必要な知識
・安全に飛行するために必要な一般技量
・安全に遠隔操作するために必要な一般技量
・安全に自動操縦するために必要な一般技量
以上なのです。
どの項目も大切な内容ですね。
たしかにひとりで独学で覚えるには難しいですよね。
知識に関しては、こちらのサイトでも公開していきます。
Webテストまで準備中です。
技量に関しては、こちらのサイトで解説はしていきますが、やはり動画での解説も必要だと思うので、動画公開も準備しています。
こちらのサイトの目的の一つである「ドローンスクールの講習会内容を可能な限りWebで公開する」も積極的に取り組んでいきますので期待してください。
さ、今までの飛行実績を入力していきましょう。
知っていましたか?飛行実績は機体の種類別に入力しなければならないって。
航空局での機体の種類は・・・
・飛行機(セスナとかの固定翼で推進装置が付いているもの)
・回転翼航空機(DJIのMavic2Proなど)
・滑空機(グライダータイプ)
・飛行船(文字通り飛行船です)
一般的なドローンは回転翼航空機です。そうなんです、全種類の許可・承認を得るにはそれぞれ10時間以上の飛行実績が必要なのです。
では、ここで質問!
マルチコプターのように垂直離着陸して、航行は飛行機のように飛ぶ機体はどの種類に該当するのでしょうか?
正解は回転翼航空機です。
航空局の方にヒヤリングして判明したのですが、どおやら離着陸時の航空機の形態がキーみたいです。
さ、マニアックなクイズは終わりにして、操縦者が飛行させられる機体を選択して、修了。
これで機体の登録、操縦者の登録が完了しました。
ここまでくれば後は申請のみ!
頑張りましょう、すぐ終わりますよ。
申請はクリックだけ。すぐに完了する。
今回は、最長の1年間の申請を例にしてみましょう。
飛行場所も特定しない、いわゆる「全国包括申請」です。
例えば都道府県別に年間で申請する場合も、飛行場所の選択じに「特定の場所・経路で飛行する」を選択して「〇〇県全域」とするだけです。
さて、こちらをご覧ください。
新規申請をクリックすると質問事項が沢山表示されましたね。
そう、申請に必要な内容をクリックするだけなんです。
業務目的を選択します。
(2)の業務以外の場合、状況により許可されない場合もあるので覚悟が必要です。
測量だけの場合も空撮はチェックしておいた方がいいでしょう。会社のHPなどでPRしたいときに空撮したくともできなくなるケースがありますからね。
飛行許可が必要な理由を選択します。
通常は「飛行の目的と同じ」を選択しますが、他の理由の場合はそれに類似した回答を選択するか、その他を選んで理由を記入しましょう。
ちなみに地表水面から150m以上、空港周辺の場合はその管轄の空港事務所長の許可が必要になるので、個別の申請が適しています。
さて、飛行方法についても登録しましょう。
まず、包括で出来ない申請です。
・催し物上空
・危険物の輸送
これらについては、個別で申請しましょう。
他の飛行方法は包括申請できるので、チェックして「飛行の目的と同じ」を選択してすすみます。
年間を通じて飛行には「はい」
飛行期間は申請日より10開庁日以上の期間を開けて入力します。
さてもう少しで申請完了です。
飛行経路を指定した場合は、次の画面で飛行を予定している場所についての入力項目が表示されるので、先ほどのように〇〇県全域など記入します。
申請先はどこか?
申請先はどこですかの項目の左端の「申請先」の上にカーソルを乗せると、自分の所在地によって東京か大阪が分かりますね。
地図に従って申請先を選択しましょう。
空港周辺や150m以上の場合は空港事務所を選んで事務所を選択します。
これは単純にクリックすると先立って登録しておいた内容が選択できるので、選択します。
機体選択をする際に、人や家屋の密集地域の申請が含まれている場合はその後に「追加基準」をクリックして必要な項目を選択します。
プロペラガードをして飛行させる場合はその写真の添付が求められますが、補助者を配置する場合は追加写真などは必要ありません。
続いて操縦者の登録をします。
操縦者登録も先ほど登録したものの中から選択するだけなので説明は省略します。
そして、使用する飛行マニュアルの選択です。
HPに掲載されている認定団体のマニュアル以外を選択する際、「その他のマニュアル」と言う項目があるのですが、結局はそのマニュアルの審査をする際に基準となるのは、航空局標準マニュアルで、標準マニュアル以上のスペックが無いものだと許可承認が受けられない可能性がとても大きくなるのです。
頑張って独自マニュアルを作るより標準マニュアルをうまく活用したいですね。
さあ、次はいよいよ申請クライマックスです。
事前に解説してある通り、保険加入していないくとも申請は可能ですが、万が一の最終担保として保険加入は必須と言っていいでしょう。
自動車は公道を走るには自賠責保険の加入が原則ですが、ドローンでは今のところ強制的な保険はありませんが、事故が起こった際を想定するとやはり保険加入は必要ですよね。年額1万円~程度で加入できるので加入しちゃいましょう。
許可証は2種類の形式があるのです。そう、電子と紙です。
大きな違いは航空局の角印が押印されているか否かだけです。
許可証の効力等には全く違いはありません。
紙の許可証を選択すると、提出先へ返信用の封筒を郵送しなくてはならないので、特別な理由がない限り電子を選択しましょう。
全ての申請書類を確認してクリック!
あれ、次に進みません。
よぉ~く見てください。「キャンセル」の上になにか表示されています。
「申請書の内容は間違いありませんか?」
しっかり確認して、チェックして「申請する」をクリックして完了です。
さあ、ついに完了しました。
実際、複数回申請していますが、実に簡単になりました。
以前の、電話やメール、郵送の必要が激減したので正直ようやく業務飛行での申請も、作業時間が少なくて済むので負担がかなり軽減されました。
今回の記事は、どこにも載っていないDIPS申請パーフェクトガイドでした。